
英会話ができるようになるには文法って必要?「文法を勉強しなくても話せるようになる」とか聞くけど・・・

日常会話のための文法って、何をどうやって勉強したらいいの?
英会話を身につけたいと思う人の多くは、文法学習の必要性に悩みます。
結論!英会話に文法は必須です!
ただし
日常英会話には中学文法だけで十分!
なぜなら私自身、大学生から英会話を始め、中学文法だけでネイティブと話せるようになった実感があるから。
この記事では、英会話には中学文法だけでいい理由と、英会話のための正しい学習法3選をご紹介します。
この記事を読み終えるころには

英会話のための文法ってむずかしくない。やってみよう!
と、第一歩を踏み出せるはずです!
なぜ英会話に文法は必要?

そもそもなぜ英会話に文法は必要なのでしょうか?

文法は言葉のルールだから!
どの言語にも文の語順や時制の変化などのルールがあり、そのルールこそが文法です。
つまり、たとえたくさんの単語やフレーズを暗記してたとしても、文法を知らなければ正しい文が作れずに会話になりません。
さらに「日本人が英語を学ぶ」ことも文法学習の重要性を高める要素の1つです。
なぜなら世界中の言語のなかでも、日本語と英語は最も類似点が少ない言語だから。
考えてみれば日本語と英語では語順も発音も文化も大きく異なりますよね。
そして、類似点が少なければ少ないほど習得がは難しくなるのです。(下図参照)

なぜ日本人は英語が苦手なのか、これにはいろいろな理由がありますが、そのうちのひとつが、「母語と学習対象言語が違えば違うほど外国語習得は難しくなる」ということです。
白井恭弘(2012)英語教師のための第二言語習得論入門 大修館書店 P.3より引用
このように、文法は言葉のルールであること、そして言語同士がかけ離れていることから、英会話習得には文法学習が必要なのです。

でもSNSで「文法を勉強しなくて話せるようになった」という人を見たことあるけど・・?

幼い頃、英語環境にいれば可能!
9歳前後までのこどもの脳は、感覚的に物事を理解する能力が高く、英語を聴こえたまま覚えられます。
実際、私は3歳~高校生に英会話を教えていますが、小学校低学年までは、先入観や疑問を持たず、英文を聴こえたままのキレイな発音で覚えてしまいます。
しかし小学2・3年頃からは「なんで?どうして?」と論理的思考が発達してくるため、文法コースも並行している子の方が格段に習得が早いことを実感します。
つまり、10歳以上で英会話を習得したいと思う人は、文法を学ぶことが1番の近道だということです。
ここまで、文法学習の重要性を理解していただけましたか?
ではここから本題!なぜ英会話には中学文法だけでいいのでしょうか?
英会話には中学文法だけでいい理由

英会話には中学文法だけでいい理由とはなんでしょう。

中学文法には日常会話に必要な要素がすべて含まれている!
- 現在形(be動詞・一般)
「~します/です」 - 過去形(規則動詞・不規則)
「~しました/でした」 - 未来形(wii・be going to)
「~するつもりです」 - 助動詞(can may must should)
「~かもしれない・~すべき」 - 比較
「AはBより~だ」 - 現在完了
「~したことがある」 - 仮定法
「もし~なら~だ」
上記からわかるとおり、中学では「現在・過去・未来・経験」すべての文法を学びます。
つまり日常会話に必要な要素はすべて含まれており、「中学文法を使いこなせる人=自分の言いたいことを自由に伝えられる人」といえるのです。

そうは言っても高校文法も必要じゃないの?

必要ありません!
中学文法で言い換えができます。
- 直接話法・間接話法
「AがBと言っていた」 - 使役動詞
「~させる・してもらう」 - 強調構文
文の一部を強調する表現法 - 分詞構文
これらの文法事項は一見重要そうに見えますが、どれも中学文法で言い換えができます。
例をいくつかご紹介します。
【間接話法(高校文法)】
He said that his girlfriend lived in Tokyo.
(彼は彼の彼女が東京に住んでいるといった。)
【直接話法(中学文法)】
He said, “My girlfriend lives in Tokyo.”
(彼は「僕の彼女は東京に住んでいる」と言った。)
文法は違えど同じ意味の文。むしろ直接話法を使ったほうが、感情を込められて自然な場合もあります。
【分詞構文(高校文法)】
Having no money, I didn’t buy the clothes.
(お金がなかったので服を買わなかった。)
【接続詞(中学文法)】
Because I had no money, I didn’t buy the clothes.
(お金がなかったので服を買わなかった。)
分詞構文は書き言葉で多く見られ、日常会話では接続詞を使った文の方が自然です。
これらの例はたった一部にすぎませんが、ほかの高校文法も同じように中学文法での言い換えが可能です。
つまり、日常会話では中学文法だけで十分なのです。
ここまでで、英会話には中学文法だけでいい理由を理解していただけましたか?
では次に、なぜ多くの人は、中学で文法を学習してたにも関わらず、英会話ができない人が多いのでしょう?
その理由を解説します。
なぜ中学で文法を学んだのに話せないのか?

なぜ中学で文法を学んだのに話せないのでしょうか?

学校英語が英会話のための指導法ではないから。
日本の学校英語は知識を身につけるための指導法であり、会話力を高めるためにできていません。
学校英語の現状について「第二言語習得論」では以下とおり説明しています。
明示的知識をまず教え、それを練習によって自動化する、ということです。ただし、自動化の部分はやらない場合が多いのです。ですから、いつまでたっても使えるようにならない。ある意味では「コミュニケーションとしての外国語」ではなく、「知識としての外国語を教える」という考え方です。
白井恭弘(2012)英語教師のための第二言語習得論入門 大修館書店 P.65より引用
※自動化とは・・身につけた知識を何度も練習することによって、自動的に声に出せるようにすること。
たとえば「三単現には’s’がつく」と教わります。この時点で知識としては理解できたとしても、会話のなかで「He goes to the gym.」などと即座に使いこなせる人はいませんよね。
学んだ知識を会話に活かすには、たとえば「What does he do on Sundays?(彼は日曜日に何をしますか)」と質問され「He goes to the gym.」と’s’を自然に言えるまでくり返し練習する(自動化)が必要なのです。
しかし日本の英語教育の現状は知識を身につけて終わりになっているケースが多いため話せるようにならないのです。
では、英会話のための文法学習とはどうやったらいいのでしょう?
ここから詳しく解説します。
英会話のための文法学習法3選

- 人に教えるつもりで覚える
- 自分の言葉に変え感情をこめて音読する
- 音源のある教材を選ぶ
1.人に教えるつもりで覚える
実は人がものごとを覚えるのに1番効果的な方法は「人に教えること」だと科学的にわかっています。
2014年、ワシントン大学が学生たちを2つのグループに分けました。
1.「この後にテストがある」と思いながら勉強する
2.「この後でほかの学生に教えなければならない」と思いながら勉強するその後で両グループに確認テストを受けさせたところ、結果は予想以上でした。
メンタリストDaiGo (2019)最短の時間で最大の成果を手に入れる超効率勉強法 株式会社学研プラス P.100-101より引用
「他の学生に教えなければ」と思いながら勉強したグループは、内容を正確に思い出す確率が28%も高く、とくに重要な情報ほど記憶に残っていたのです。
考え方を変えるだけで思い出す確率が28%も高まるなんておどろきますよね!
ではなぜ「人に教えるつもり」が効果的なのでしょう。
その理由は、学習が能動的になるから。
あなたが普段勉強しようと本を読んだり、動画を観たりする行為はすべて受動的。
この受け身な行動は記憶に残りにくいのです。
反対に、だれかに教えようと思うと人は自然と要点をまとめたり頭の中を整理しようとし、学習が能動的になります。
この姿勢が記憶力を高めたのです。
実際私も英会話講師として人に教える立場になってから、より文法力が高まりました。あなたも文法学習をするときは、

このあと人に教えるんだ。
と思って取り組みましょう。
むしろ隣にだれかいると想定したり、ぬいぐるみを置いたりして、実際に声に出して教えるとより効果的です。
2.主人公を自分に変えて音読する
昔から学校でよく「音読しなさい」と言われてきましたが、音読は科学的にも効果的であることがわかっています。
たとえば学生に80個の単語を音読させた研究では、声に出して覚えたグループでは、黙読したグループよりテストの成績が12%も高くなりました。確かに、音読の方が黙読より時間がかかりますが、そのデメリットを補って余りあるようです。
メンタリストDaiGo (2019)最短の時間で最大の成果を手に入れる超効率勉強法 株式会社学研プラス P.224-225より引用
音読をしたほうが12%も成績が高まるなんておどろきますよね!
また「英文の主人公を自分にする方法」を「パーソナライズ音読」といいますが、その効果も実証されています。
一例として、兵庫大学が行った実験によれば、「パーソナライズ音読」を1日15分ずつ実践した学生は、普通の音読をしたグループよりも文法や内容の理解が10%近く高かったそうです。
メンタリストDaiGo (2019)最短の時間で最大の成果を手に入れる超効率勉強法 株式会社学研プラス P117より引用
つまり、英文法を学習するときは、テキストの例文をそのまま暗記するのではなく、例文の主語を、I(私)や身近な人の名前に変え、文の単語を自分に関係のあるもの変えてから音読することが効果的なのです。
3.音源のある教材を選ぶ
忘れてはならないのは、あなたの文法学習の目的は「英会話」だということ。
つまり「英会話=音声」を取り入れた学習である必要があります。
「音源がある・使いやすい・わかりやすい」を考慮し、私が厳選した教材3冊はこちらです!
Essential Grammar in Use
世界的ベストセラーの文法書。左にイラスト付きの解説、右に問題演習と、見開き1ページで1項目が習得できる構成。
すべて英語で書かれており、開いた瞬間は緊張するが、取り組み始めるとそのわかりやすさに感動します!
そして、この本の1番の特長は日本の文法書にはないネイティブ感覚が得られること。
学校英語の複雑な文法で悩まされていた人こそ「こんなに単純でいいんだ!」とスッキリすることまちがいなしです!
ebookつきで音声が聴けます。
中学 英語を もう一度ひとつひとつわかりやすく。
中学3年分の英文法を習得できる、中学英語参考書人気No.1の1冊。
左にイラスト付きの解説、右に問題演習と、見開き1ページで1項目が習得できる構成。
手作り感のあるイラストと詰め込みすぎない情報量でムリなく続けられます。
この本の1番の特長は音声と動画が充実していること。
付属のCDには練習問題の英文がすべて収録されており、さらにYouTubeで動画学習も可能です。https://gakken-ep.jp/extra/hitotsu_mov/
まさに会話のための文法を身につけらる教材といえます。
Mr. Evine の中学英文法を修了するドリル
30日間で中学3年間の文法を身につけられる1冊。
この本の1番の特長は、英語初心者への配慮がいたるところに感じられること。
教材のサイズが大きくて見やすく、1ページの情報量も多すぎず継続しやすいです。
また使われている単語はむずかしくなく、すぐに英会話に役立つものばかり。
さらに、各演習の最後にある先生からのメッセージがあたたかく、やる気をくれます。
音声は無料ダウンロードできます。
合わせて読みたい
【大学受験】脳科学的に正しい「文法書の使い方」&挫折しないためのコツ!
まとめ
英会話には中学英語だけでいい理由と効果的な学習法をご紹介しました。まとめると以下のとおりです。
- 中学文法には日常会話に必要な要素がすべて含まれている
- 高校文法は中学文法で言い換えができる
- 人に教えるつもりで覚える
→学習が能動的になり記憶に定着する - 自分の言葉に変え感情をこめて音読する
→音読で記憶に残る
自分事にすると文法や内容の理解度が高まる - 音源のある教材を選ぶ
→英会話は音声
聞いてマネするのがコツ
いまだに日本だと「英語が話せることはスゴイこと」というイメージを持つ人は多いですが、そんなことはありません。
中学レベルの文法力があれば、だれでも話せるようになります!
重要なのは、正しい学習法を知り、それをひたすら継続すること。
これさえできればあなたも1年後には「英語が話せる人」になっていることまちがいなしです。
<参考文献>
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