
ほとんどの日本人は英語ができないよね。どうして?

小学校から高校まで英語を習っても話せない。なんで?
時代は変わっても変わらないものの1つといえば「日本人の英会話力」ではないでしょうか。
ネットやTVには「短期間で身につく英語上達法」「〇〇だけで話せるようになる」といった広告であふれています。
それだけ多くの人の共通した悩みということです。
今回は「日本人が英語を話せない5つの理由」をまとめました。
参考文献
白井 恭弘弘(2012).
『英語教師のための第二言語習得論入門』.大修館書店
日本語と英語は違いすぎる

世界には6000ほどの言語があり、言語同士が「似ている」「似ていない」があります。
この場合の「似ている」とは、単語の語順や単語そのもの、または文化のことを指します。
似ている言語には、たとえばスペイン語とポルトガル語、英語とフランス語、日本語と韓国語などがあります。
外国語を学習するとき、その言語と母国語が似ていると習得が早くなることがわかっています。
残念ながら日本語と英語は似ていません。
むしろ、すごーく距離のあるまったく違う言語です。
そのため日本人がほかの国の人と比べて英語が話せないのは当たり前なのです。
- I went to Tokyo yesterday.
私は 行った 東京に 昨日。 - black and white
黒白(日本語では白黒)
私は留学中、ペラペラに英語を話すフランス人やドイツ人のクラスメイトに

何年くらい英語習っているの?
と聞いてみました。すると

うーん、1年くらいかな!

えー!
私は中・高・大と10年やってきてるのにぃ!
と絶望のあまり、一瞬帰国がよぎりました。(笑)
さらに、日本語と英語を遠ざけている理由に「文化の違い」もあります。
あなたも海外ドラマや洋画などで

リアクション大きいなぁ!

さらっと相手をほめるなぁ!
と感じたことはありありませんか?
あの大きなリアクションや人を褒めるの英語圏の文化の1つ。
英語には褒めやリアクションを表す単語も多く、馴染みがない日本人にとっては使いこなすのが難しいと感じられます。
Great Wonderful Beautiful
Excellent Awesome Good job
Fantastic ・・・
「すごい」だけでも数えきれないくらいありますね。
このように、言語も文化も違いすぎることが、日本人が英語を話せない理由の1つです。
英語を話す必要がない
あなたは日常生活で英語を使わないと困る場面はありますか?
ほとんどの人が「ない」と答えるでしょう。
「楽天やユニクロが社内公用語を英語にした」とか「グローバル化が進んでいる」といわれて何年も経ちますが、多くの人にとって英語は「あこがれ」のままです。

英語が話せたらいいなぁ
この漠然とした気持ちを具体的な行動につなげない限り、英語が話せるようにはなりません。
そして行動に移したとしても、次に「継続」のハードルが待っています。
英語の習得には2000時間が必要とされています。
あなたは差し迫って必要がないものに2000時間も投資できますか?
このことも日本人が英語を話せない大きな理由です。
学校英語は「自動化しない自動化モデル」
日本の学校英語は「自動化モデル」という教え方です。
- 最初に学習すべき内容を知識として身につける
- たくさん練習することによって使えるようにする(自動化する)
実際は「2.たくさん練習(自動化)」をやらない場合が多く、いつまでたっても使えるようにはならないのです。
いわば「コミュニケーションとしての英語」ではなく「知識としての英語」を何年も学んでいるということ。

そんなの何年も前からわかってることでしょ?
なんでやり方を変えないの?
- 自動化モデルはわかりやすく一般うけする
- 英語が話せなくても、日本語と英語をくらべる能力が身につけばいいと思っている人がいる
- 入試のシステムが「流暢さ」よりも「正確さ」を問う問題が多く、生徒たちもそれを好む場合もある
<補足>
「自動化しない自動化モデル」に今後変化があるのではと期待しています。
理由は2020年度より「センター試験」から「大学入学共通テスト」に変わり、
英語の総合力を測る外部試験(英検・GTEC・TEAP)の結果を反映できるようになったから。
この動きが加速して、コミュニケーション重視の指導法になる日がくればと思っています。
このように、学校教育が「自動化しない自動化モデル」なのも日本人が英語を話せない理由の1つです。
インプットが圧倒的に足りない

インプット量が圧倒的に少ないことも話せない理由の1つです。

話せるようになるにはアウトプットが重要じゃないの?
と思いましたか?
実は英語が話せるようになるには
「圧倒的なインプット量」が重要なのです。
インプットの重要性を説いた「インプット仮説」をご紹介します。
クラシェンが提案した仮説。
言語習得には「話す」「書く」のアウトプットはまったく関係なく、「聞く」「読む」によりのみ習得できるという主張のこと。
重要なのは理解可能なインプットをいかに行うかであると説いた。
この仮説を裏付ける「沈黙期」の話があります。
- 赤ちゃんのときにまったく話さない子が、ある日突然長い文で話し始める。
ある日本人の女の子の第一声は「お母さん、夕日がきれいだね」だった。 - 海外駐在員や親と一緒に外国で暮らした子どもで、ずっと黙ってたのにある日突然しゃべりだす。
日ごろまったくアウトプット練習していないのに、急に文で話しだす例から、いかに日常的な大量のインプットが重要だとわかりますね。
<補足>
インプットの内容は「理解可能」であることを忘れずに。「いくらインプットをしても、意味が分からないものだとあまり効果はない」とクラシェンは強調しています。

なんでインプットで身につくの?
その理由は
予測文法が身につくから。
たとえば
「昨日、東京から台湾まで飛行機で___。」
と聞いたら
「飛んだ」「行った」
などの動詞がすぐに浮かびますよね。
「泣いた」などという動詞は浮かびません。
このような予測する知識は、インプットを大量に聞いて理解することによってのみ身につきます。

それならアウトプットは全然必要ないってこと?
英会話教室なんて意味ないじゃん!
それは違います!重要なのは
アウトプットの必要性ありきの大量なインプットです。
話す必要がないインプットは身につきません。
たとえ実際に口に出さなくても、頭の中で話すリハーサルをすることで、だんだんしゃべれるようになります。
英会話教室ではインプットもアウトプットも求められるので有効な手段だといえるでしょう。
このように、日常的なインプットの機会がほとんどない日本人には英語の習得は難しいのです。
不十分な教員養成システム
日本の教員養成システムにも問題があります。
まず、教育学部の英語教育専攻をのぞいては、英語の教え方のテクニックについて十分に教わっていないということ。
また、現場では若い先生が新しいことをやろうとしても年配教師があまりよく思わず、古いやり方を押し通してしまうこと。
そして、最も大きな問題は、従来どおりの文法訳読方式は先生にとって教えやすいということ。
自分が学生時代に経験しているやり方はイメージがしやすく、準備も簡単です。
もしコミュニケーション重視の教え方に変えるなら、なんらかのトレーニングが求められますが、今の教育システムにそんな機会はありません。
このように、教員養成システムにも日本人が話せない要因はあります。
まとめ
日本人が英語を話せない5つの理由をご紹介しました。まとめると
- 日本語と英語は違いすぎる
- 英語を話す必要がない
- 学校英語は「自動化しない自動化モデル」
- インプットが圧倒的に足りない
- 不十分な教育システム
このなかで今すぐ自力で取り組めるのは「理解可能なインプット量を増やすこと」ではないでしょうか。
まずは「こども向け英語番組」や「NHKのテレビ番組」「ラジオ番組」から始めてみるのをおススメします。

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